ジョジョの奇妙な冒険で、多くの人が誤解しているように感じるのは、スタンドを“自我があるもの”と“自我が無いもの”で区別しちゃってることです。
セックス・ピストルズなんかは、自我があるスタンドの代表格として扱われます。
でも、しかし、細かく読み込んでみると、実はほとんどのスタンドは多かれ少なかれ、自我があるんです。
自我が無いように見えるスタンドは、“寡黙な性格である”とか、“本体に完全にコントロールされている”と考えるのが自然なんです。
今回はスタンドには自我があると考えられる根拠を考えてみます。
もくじ
自我があるスタンドと無いスタンドを区別する人が多い
例えば、某サイトのセックス・ピストルズの解説にはこんな一文があります。
“ピストルズ最大の特徴、それは群体型スタンドの中でも珍しく自我がある事だろう。”
他にもホワイトスネイクの解説では、”自我を持ち、誰かと会話をしたり本体が見えない所でも戦わせる事が可能。”などと、さも特別な能力かのように書いています。
でも、これらは特別な事ではありません。
例えば、この記事でも書いたのですが、寡黙で自我が無いように思えるスタープラチナも、実は自我があると感じさせる描写がいくつもあります。
スタンドには自我があるというものの、スタープラチナには自我があるのかは分かりにくいですよね? でも、細かく読んでみると、ちゃんと自由意思を持っているようです。 というわけで、今回はスタープラチナを始めとしたスタンドの自我のことを考えてみます。
特に遠隔操作型のスタンドの場合は、それぞれが自分の判断で行動していると思える描写が無数にあります。
一つ一つを挙げると、キリが無いので、共通した代表的な根拠を紹介していきます。
スタンドには自我があると言える根拠
スタンドには自我があると考えられる根拠には、共通点があります。
多くのスタンドは、これらのうちのどれか一つには当てはまっちゃうんです。
順番に解説していきますね。
本体がスタンドに命令している
私たちはグラスに入った飲み物を飲む時に、“手でグラスを持って、口に持ってくる”なんてことを、考えはしません。ましてや言葉に出して、手に命令なんてしませんよね?
しかし、多くのスタンド使いは、自分のスタンドにわざわざ言葉で命令しています。
ほとんどの場面では、スタンドと本体は、言葉に出さずとも以心伝心でコントロールすることができるようです。そのため、スタンド使いたちは言葉に出して命令したりせず、能力を使いこなします。
これが、多くのスタンドには、自我が無いと思われる原因なのだと思います。
しかし、緊急事態や追い詰められた時には、言葉に出して自分のスタンドに命令する場面がよくあります。
©集英社文庫「ジョジョの奇妙な冒険 Part4 ダイヤモンドは砕けない 29巻」P.73
もちろん読者に対して、キャラクターの思考が分かるように、あえてセリフ化して見せている意味もあると思います。
しかし、本当の手足と同じ感覚で、動かせるのだとしたら、このような命令口調にはしないはずです。
コントロールしてない時には自由に行動している
こちらの場面では、アバッキオがフーゴのスタンド、パープル・ヘイズの性格を解説しています。
©集英社文庫「ジョジョの奇妙な冒険 Part5 黄金の風 32巻」P.232
このパープル・ヘイズを見たアバッキオは、フーゴがちゃんとコントロールしてないせいで、普段の神経質な一面が出ていると語っています。
この解説では、パープル・ヘイズは遠距離自動操縦型ではなく、ちゃんとフーゴがコントロール可能なスタンドであることが示唆されています。
実際にイルーゾォにとどめを刺したのは、フーゴがコントロールしたパープル・ヘイズです。ゴールド・エクスペリエンスのアシストにより、敵の位置を把握したフーゴが、とどめをさしています。
勝手に動いている
スターダストクルセイダースの冒頭では、スタンド(悪霊)の存在を証明するために、警察官から奪った拳銃をこめかみに向かって発射しました。
しかし、その弾丸はスタープラチナが、勝手につまみ取って、脳天が吹っ飛ぶのを防いでしまいました。
©集英社文庫「ジョジョの奇妙な冒険 Part3 スターダストクルセイダース 8巻」P.20
徐倫も自分にスタンド能力が発現していることに気付かない間は、ストーン・フリーが勝手に動いています。
よく見ると実は喋ってる
よく読むと、スタンド自身に吹き出しが付いて、喋っている場面が多々あります。
分かりやすいのは、ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムです。
©集英社文庫「ジョジョの奇妙な冒険 Part5 黄金の風 39巻」P.204
他にも本体がしゃべっていると思い込んでいるだけで、スタンドが喋っている場面が色々とあります。
もちろん自我が無いスタンドもある
しかしながら、どう考えても自我があるとは思えないスタンドも、たくさん存在します。
例えばハーミットパープルなんて、イバラに意思があるとは思えません。
エアロ・スミスも、ナランチャが完全に操縦しているスタンドと考えるのが妥当です。
クヌム神などは、そもそもスタンドの像が存在しません。
人や動物のような生物的なスタンドには自我が存在し、機械や像を持たないスタンドの場合は、自我が存在しないのでしょう。
まとめ
そもそもスタンドは、強い意志と精神力でコントロールするものとして描かれています。
そのような強い精神力で完全にコントロールするからこそ、自我が無いように見えちゃうのかもしれませんね。
それにしても、スタンドに自我があるのであれば、気の合う性格のスタンドがイイですね…。
セックス・ピストルズのNo.3は嫌だなぁ…。