シュガー・マウンテンの泉は、昔話の「金の斧・銀の斧」を彷彿とする能力のスタンドです。
その名もシュガー・マウンテンという少女が、泉に落とした物とそれを遥かに上回る価値を持つ物を提示して、人を試すというスタンドです。
しかし、オリジナルの童話とは違い、高価な物を貰った後もとんでもない試練が続く、恐怖のスタンドです。
果たしてこんなスタンドを、人類に幸福をもたらす使い方ができるのでしょうか?
今回はシュガー・マウンテンの泉の能力の考察と、活用方法を考えてみます。
もくじ
シュガー・マウンテンの泉の能力
シュガー・マウンテンの泉の本体は、シュガー・マウンテンかと思いきや、彼女はシュガー・マウンテンの泉に捕らえられた魂に過ぎません。本当の本体は泉の傍らに生えている大木です。
この大木はふさわしい者が訪れるまで、遺体を守っており、シュガー・マウンテンの少女を使って訪問者を試しています。
能力は訪問者が、泉に物を落としたことをきっかけに、発動します。泉に物を落とすと、シュガー・マウンテンの少女が、実際に落とした物とそれを上回る高価な物を提示して、”どちらを泉に落としたのか?”と尋ねます。
©集英社文庫「ジョジョの奇妙な冒険 Part7 スティール・ボール・ラン 8巻」
質問に正直に答えれば、両方とも貰うことができ、欲張ってウソをすけば、内臓を引き出されて殺されてしまいます。
しかし、話しはここで終わりません。
加えて与えられた高価な物は、日暮れまでに使い切ることができなければ、大木の一部にされてしまいます。
この“使い切る”ことの条件が非常に厳しく、捨てることはもちろん、誰かに押し付けることや、叩き売るような行為をすると、すぐさま木に取り込まれてしまいます。飽くまでも、合理的な取引でなければなりません。
©集英社文庫「ジョジョの奇妙な冒険 Part7 スティール・ボール・ラン 8巻」
さらに取り引きで得た物も、完全に消費して、手元に残さないようにする必要があります。
つまり、取り引きと言っても、物品を購入するようなものではなく、何かしらのサービスや便宜供与を受けるなど、形が残らないものにする必要があります。
そもそも、シュガー・マウンテンの泉が、与えてくれる物が非常に効果なものばかりな上、普通の人間は、ジャイロのように調子に乗って、何度も泉に物を落とすことで、さらに高価な持ち物が増えてしまうでしょう。
そのため、形として手元に残さないことが非常に困難で、過去にシュガー・マウンテンの泉を訪れた人は全て、大木の一部にされてしまっています。
特徴
シュガー・マウンテンの泉は、本体が泉のほとりに生えている木なので、その場を動くことがありません。
そのため、スピードと射程距離は、最低の“E”です。何かの攻撃や行動を行うわけでもないため、破壊力と精密動作も“E”です。
唯一の“A”は、持続力です。
日暮れまでに、”使い切る”ことができなかった人の魂を、恒久的に木に縛り付けることができる圧倒的な持続力を持っています。
項目 | 評価 | 備考 |
---|---|---|
破壊力 | E | |
スピード | E | |
射程距離 | E | |
持続力 | A | 貰った物を使いきれなかった場合は、いつまでも木に囚われ続けることになる |
精密動作 | E | |
成長性 | E |
戦いには不向きなスタンドと思いがちですが、”使い切る”ことが意外に難しいため、上手く術中に落としてしまえば、どんな相手でも十分勝算があるスタンドです。
特にメイド・イン・ヘブンが相手の場合は、あっという間に時間が経って、日が暮れるため、必勝と言っても過言ではない気がします。
特殊能力
シュガー・マウンテンの泉の特殊能力は、泉に落とした物と似ていて、それよりも高価な物を作り出すことと、それを使いきれなかった人の魂を木に縛り付けることです。
これには次のような特徴があります。
- 作り出した高価な物は、その日の日没までに使い切る義務がある
- 使い切ることができなかった場合、シュガー・マウンテンの泉に魂が囚われてしまう
- 新たな人が囚われると、現在、万人をしている人の魂は解放され、次の番の人の魂が番人となる
- 取り引きをして得た物も、使い切りの対象になる
- 誰かが使い切ることができると囚われていた魂が全て解放される
結局のところ、手に入れた物を自分の所有にすることはできません。
しかし、シュガー・マウンテンの少女によると「『全て』を敢えて差し出した者が、最後には真の『全て』を得る」と言っています。
©集英社文庫「ジョジョの奇妙な冒険 Part7 スティール・ボール・ラン 9巻」
ジョニィの場合は、ジャイロというかけがえのない友人を得て、レース後には再び歩けるようになりました。ジョジョリオンを読むと分かるのは、その後、家族を作り、最愛の子供の病を治すために殉じました。
レース前は、家族の愛を知らず、何の希望も無い毎日だった彼は、誰もが望みながも、実現すること難しい人生を送ることができました。
シュガー・マウンテンの泉は、本当の豊かさを提供できるスタンドなのかもしれません。
有効度
とは言え、“使い切る試練”をクリアすることは、非常に困難と言わざるを得ません。
能力を使って人を幸せにしてあげたいと思っても、それを実現することが困難なため、有効度には大いに疑問があります。
リスク
このスタンドは、泉とセットの能力ですが、その泉に知らない人が、うっかり物を落としてしまうと大変なことになります。
試練をクリアできなければ、身の破滅なので、意図せず泉に物を落とすことがないように、厳重管理が必要です。
また、たとえ人から望まれて、この能力を使ったとしても、その人が試練に失敗して魂が囚われてしまえば、過失致死罪などに問われる可能性もあります。
かなりの高リスクなスタンドです。
悪用度
特殊能力の性質上、自分が得をするような使い方が難しいです。
例えば、まず誰かを誘拐します。そして、その人の持ち物を泉に落とさせ、その人が得た高価な物と、監禁状態から解放することを材料にして取り引きします。
これなら合理的な取引になりそうです。ただし、思いっきり証拠が残るため、ハイリスクな使い方です。
世界への影響
シュガー・マウンテンの泉に物を落とした人は、入手した物を使い切る事が必要になります。
その際に突然高価な物を、その地域の経済に持ち込むことになるため、一時的なインフレが起きそうです。
ジャイロが手に入れた数十億のダイヤモンドなどは、地域経済に与えるインパクトは、なかなかのものだったはずです。
意外な形で、世界に影響があるスタンドと言えます。
使い道と活かし方
シュガー・マウンテンの泉は、とても特殊なスタンドであり、使い切る試練のクリアも困難です。
そこで、こんな活用方法を考えてみました。
日本を始めとした、世界の国には死刑制度が残っています。死刑は人権上、廃止すべきという意見が強い刑罰です。
そこで、死刑にする代わりに、シュガー・マウンテンの泉の試練を受けさせます。もし、試練にパスすれば、”真の全て”を手に入れる資格を得ることができ、立派な人生をやり直すチャンスが貰えます。
もし、失敗したとしても、シュガー・マウンテンの泉の番人として拘束されることになるため、実質的には無期懲役刑になります。
賛否両論がありそうな使い方ですが、能力を使うことのリスクを逆手に取るとこんな使い方しか思いつきません。
総合評価★☆☆☆☆
シュガー・マウンテンの泉の試練をクリアした人は、“真の全て”を手に入れる可能性があります。
素晴らしい可能性を秘めたスタンドですが、いかんせんリスクが高すぎます。やはり、選ばれた人だけでなく、人類全体に幸福をもたらすことができるスタンドでなければ、評価することはできません。
というわけで、総合評価は★☆☆☆☆としました。
ところで、ジャイロは大統領との戦いで短い生涯を終えましたが、果たして”真の全て”を手に入れることができたのでしょうか?自分の人生に課せられた疑問に納得できる答えは得られたのでしょうか?
少なくとも、ジョニィという友人を得て、彼に無限の回転の力を伝えることで、ジョニィに真の勝利をもたらしました。
そういえば、ファントムブラッドや戦闘潮流に登場するツェペリ一族も、ジョースター一族に殉じる生き方でしたね。そういう意味では、ジャイロも”真の全て”を手に入れたのかもですね…。
§シュガー・マウンテンの泉が登場する巻(文庫本)§